ヘタレ王子とヤンキー姫
樺音は、春樹の真っ赤な目を見ながら聴いた。

「泣いてたんだろ?」

「泣いてないよ。なんで泣くのさ。」

謝ってみても、赤い目の理由を追求しても、春樹は泣いていたことを認めなかった。

「そろそろ戻らないと。」

気付くと、横を通り抜けようとする、春樹の腕をつかんでいた。

「樺音?」

樺音は無言で春樹を睨み付け、自分の目の前へ引っ張った。

「何?どうしたの?」

樺音は無言で春樹を突き飛ばした。

「樺音?」

「うぜぇんだよ。ヘタレの癖に強がってんじゃねぇぞ。」

樺音の拳が、春樹の目の前で止まる。

春樹は突然のことでワケがわからず、足に力が入らず、その場に座り込んでしまった。

「樺音…やめてよ。どうしちゃったのさ。」

今度は、春樹の顔の横ギリギリに、足が飛んできた。

「やっ…やめて…。」

「助けを呼びたきゃ呼べよ。呼べば誰か来てくれるんじゃねぇの?」

「えっ?」

「お前に俺は止められねぇ。」

「どうしてこんなことするの?怖いよ。やめてよ。」

「ムカつくんだよ。お前。」

樺音は春樹の胸ぐらをつかむと、拳を振り上げた。
< 35 / 200 >

この作品をシェア

pagetop