ヘタレ王子とヤンキー姫
まず最初に疑ったのは、体育の時間に姿の見えなかった生徒だ。

彼は否定した。

そこで颯太は強行手段に出ることにした。

廉の謹慎が解けた頃、彼は学校に中身を抜いた財布を持ってきて、鞄にしまった。

クラスの友達に、財布を持ってきていることをわざと大きな声ではなした。

「海外に住んでる親戚が小遣いくれたんだ。五千円だぜ?やばくねぇ?ゲーム買うんだ。」

その日は体育がある。

颯太はそれにかけていたのだ。

けれど、体育の時間クラスメートは、全員出席していた。

颯太が、半ば諦めかけた頃、そいつは動き出した。

昼休みに、こっそり颯太の席へ行き、誰も見てないことを確認してから、鞄をあさりだしたのだ。

「颯太あれ。」

「わかってるよ。」

颯太は後ろに回り声をかけた。

「いっとくけど海外の親戚も、金も嘘だぜ。」

そいつは憎々しげに振り替える。


「やっぱりお前か。」

それは颯太が以前疑った生徒だった。

「お前なにがしたい?」

その生徒は白状した。

お金の自慢をする同級生が、羨ましかったこと。

とったあとに怖くなり、廉の鞄に押し入れたこと。

そして今回も羨ましくなりやってしまったと。
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