ヘタレ王子とヤンキー姫
それから、颯太に対する嫌がらせが始まった。

その教師が担当する教科はいつも成績がボロボロ。

内申も下がっていた。

「何で?」

颯太はすぐに抗議に行った。

しかし颯太の話を聞いていた他の教師から、

“成績が下がったのを人のせいにするな。”

“お前の努力が足りないからだ。”

と怒られるだけだった。

颯太の友達も同じだった。

噂はすでに広まっていて、自分達の成績にも響くかもしれないと、颯太から離れていった。

そんな彼を、廉は見ていられなかった。

「坪井、あん時みたいに、あいつの不正暴いてやれよ。」

「いいよめんどくせぇ。」

「俺のせいだよな。俺の普段の態度が悪かったから。」

「今さら潮らしくなってんじゃねぇよ。キモい。」

「…俺決めた。教師になる。それであいつより上にたって、あんなやつ見返してやる。」

「そうか…じゃぁ俺には関わるな。内心に響く。」

「嫌だ。お前に恩返ししなきゃ気がすまねぇ。」

それから毎日のように、話しかけてくる彼に、いつしか心を開き始めていた。
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