ヘタレ王子とヤンキー姫
はなし終わり、颯太は無理に笑顔を作った。

「それから俺は、前垣に喧嘩を教わって、ヤンキーになった。あいつは他の高校で、真面目に頑張ってるらしいけどな。」

「みんな壮絶な人生生きてるんだね。僕ならきっと耐えられない。」

「私もなんにもないよ。春樹と一緒。平凡に生きてる。」

恵美が答える

「誰だって生きてりゃ何かしら苦労するんだよ。俺と颯太はそれが中学時代だっただけのはなしだ。」

「そうだな。」

「でも颯太の母親が、部屋の前にいるのは、話がしたいからなんじゃないかな。」

「今さらなんのはなしだよ。」
「そうだけど、なんか僕なんかが言うことじゃない気もするけど、もう一度話し合うべきだと思う。」

颯太は言い返せなかった。

「それに、今さらにしたのは颯太自信だろ。」

樺音が春樹をフォローする。

「えっ?」

「今までは、颯太がこれでいいならって思ってたけど、やっぱ春樹と知り合ってから、お前が露骨に羨ましがってんの見て、このままじゃ行けねぇだろって思ってた。」

「颯太、今しかチャンスはないかもしれないよ?」

颯太はしばらく黙りこんで立ち上がった。

「行ってくるわ。」

颯太は走り出した。
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