ヘタレ王子とヤンキー姫
樺音は春樹を起き上がらせた。

春樹はまだ泣いている。

「痛いよ〜怖いよ〜ママ〜ママ〜。」

「春樹、いいこだからもう泣くな。怖かったなごめんな巻き込んで。」

樺音は地面に座って、春樹を自分の方に引き寄せて、春樹の頭を自分の胸につけた。

春樹は、泣きながら、樺音の膝の上に乗った。

樺音はなにも言わず春樹の背中を優しく叩く。

「樺音?」

「そうだよ。」

「痛いよ〜。」

樺音の胸に春樹の顔が埋まる。

丁度、樺音の胸に、春樹がキスをしているような格好になった。

樺音は背中をさすりながら、春樹の頭を撫でる。

「痛いの飛んでけ。」

そんな二人のようすを、颯太と恵美は、少し離れたところから見ていた。

樺音は不覚にも、疲れて寝てしまった春樹の寝顔に胸がドキドキしていた。

樺音は冷静を装いながら、春樹の口のなかに入っている指を、外に出してやった。
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