会いたい
「さぁ、出ましょう。しばらくしてから、あなたのお母さんには言っておきますから」
「……高木さん」
高木さんは私をホテルのロビーへ連れていって、そこでタクシーを頼んだ。
「座ってください。すぐにタクシー、来ますから」
「――すみません、本当にすみません」
「いえ、謝らなければならないのは、こちらのほうだと思っていますから」
「え?」
高木さんはためらいがちに眼をそらして、
「実は、このお見合い、無理に仕組んでもらったのは俺なんです。すみません」
いきなり頭を下げた。
「あなたの、恋人だった方のことも、聞いてました」
「!?」
「――とても、哀しいことだったと、思います」
「……知ってて、どうして?」
高木さんは、和らかな眼差しで私を見返した。まるで透のように。