会いたい

「さぁ、出ましょう。しばらくしてから、あなたのお母さんには言っておきますから」

「……高木さん」

 高木さんは私をホテルのロビーへ連れていって、そこでタクシーを頼んだ。

「座ってください。すぐにタクシー、来ますから」

「――すみません、本当にすみません」

「いえ、謝らなければならないのは、こちらのほうだと思っていますから」

「え?」

 高木さんはためらいがちに眼をそらして、

「実は、このお見合い、無理に仕組んでもらったのは俺なんです。すみません」

 いきなり頭を下げた。

「あなたの、恋人だった方のことも、聞いてました」

「!?」

「――とても、哀しいことだったと、思います」

「……知ってて、どうして?」

 高木さんは、和らかな眼差しで私を見返した。まるで透のように。
< 47 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop