夏恋~小さくて素敵な恋~



リング下に到着したのと同時に塚原くんの声がしたかと思うと、ボールが一直線に飛んできた。



最初はビクついたけど、なんとか受け取った。



もう時間がない!!!!



頭の中で昨日の練習風景が浮かんだ。



あたしはボールを額の位置に上げ、ジャンプしながらボールを押し出した。



昨日、塚原くんが教えてくれたように。



押し出されたボールはボードの四角の角に当たり、



はいれっ!!!!



あたしは強く願った。



けど……、



ガンッとリングにあたり、ボールが落ちそうになる。



あ…だめだ。


と思った瞬間、



「まーかーせーろー!!!」


後ろから手が伸び、落ちそうになったボールをリングへと押し込んだ。



――ビー



高音のブザーの音と共に、ボールはリングに入った。


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