ありのままの、あなたが欲しい。
そして玄関のドアをくぐる俺に、藤咲さんは微笑みながらお決まりの言葉をかける。



「いってらっしゃい。お仕事頑張ってね」



その言葉と綺麗な笑顔に、俺の心臓はいつもドキリと音を立てる。


新婚さんはこういう気分なのだろうか…

誰かに“いってらっしゃい”と言われるのも悪くない。



最初は気恥ずかしくて、目を逸らして小さく頷くだけだったものの…

最近では素直に「いってきます」と言うことにしている。


それもやっぱりむず痒さを感じるのだけど。



「ショージ、またね~!」



こちらも満面な笑顔で手を振るマナトくん。

俺も手を振って「またね」と返した。


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