ありのままの、あなたが欲しい。
「あたし…どんな形でもいいから、叶のそばにいたくてセフレになったの。
抱かれてる間だけは、愛されてる錯覚に陥られるから…」


「ちょっと待って」



俺の身体から彼女をそっと引き離して、大粒の涙をこぼす亜優の瞳を見据える。



「亜優には彼氏がいるんだろ?
それなのに好きだなんて…」


「それは──」



率直に感じた疑問をぶつけ、亜優が何かを話そうとした、その時。




「…本当なのか?今の話…」



誰もいないと思っていたはずの廊下に、よく知る低い声が響き渡った。


驚いた俺達は同時に振り向いて息を呑む。



──武田さん…!?



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