ありのままの、あなたが欲しい。
そこにはジャージ姿の武田さんが険しい表情をして立っていた。


まだ残っていたのか…不覚だった。

こんなところで話すべき内容じゃなかったのに……


ましてや、一番聞かれてはいけない人物に出くわしてしまうなんて。



「おい…本当なのか?
本当に、ショージは亜優ちゃんとそんな関係だったのか?」


「………」



今にも爆発しそうな、こんな怒りを露わにする武田さんは初めてで、俺は咄嗟に言葉が出てこなかった。



「ショージ!!どうなんだって聞いてんだよ!!」


「武田さんっ…!」



亜優の制止なんか耳に入ってない様子で、武田さんは俺の胸倉を掴み上げる。


そして睨みつける武田さんの切れ長の瞳は、怒りと悲しみで満ちているように見えた。


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