聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 だって、黒斗は家族以外に心を許さない。


 弘樹や高志、その他の友達にも。


 唯一本性を見せているあたしにも……。




 誰一人心を許さないのに、他人を本気で好きになることなんか無い。


「……気付いた瞬間、失恋?」


 こういう場合も失恋って言うんだろうか……。



 でも、だからといって気付いてしまった想いが消えるわけじゃない。

 むしろ湧き出てくる。


 黒斗は応えてくれないのに、あたしはこの思いをどうしたらいいんだろう……。
 

 そこまで思ったとき、黒斗が最後に言った言葉が蘇る。


『お前が、俺のトコまで堕ちて来いよ』


 堕ちたら、好きになってくれる?

 もっと黒斗にいたぶられて、同じく闇に染まったら心を許してくれる?





 ……ううん、それは違う。

 上手く説明できないけど、それは違う……。


 少なくとも、それで心を許してくれるとは思えない。



「黒斗……あたしは貴方を闇から救い出すことは出来ないの……?」



 あたしはしばらくの間、黒斗の闇について考えていた……。


 
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