聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

闇の正体


「今日の報酬はキスマーク一個だな」



 あたしの部屋に入ってきた黒斗は、そう言ってあたしの胸元に痕を残した。

 そして早々に部屋を出て行く。


 この間罰として黒斗にいたぶられた日から、黒斗はずっとこんな調子だ。


 いつもは報酬が無い日でもあたしが部屋に入るのを見届けていたのに、最近は見届けもせずさっさと自分の部屋に行ってしまう。

 報酬も、一回だけならキスしてきていたのに、今は最初に戻ったかのようにキスマークしかしてこない。


 それはまるで、“俺の中に入ってくるな”と言っているようで……。

 “近付くな”と拒まれているようで……寂しかった……。



 黒斗が好きだと気付いたのに……。

 気付いた次の日からこんな、距離を置くように接するなんて……。



 寂しいよ……。


 哀しいよ……。



「くろとぉ……」


 あたしは、黒斗が残したキスマークにすがるように触れた……。


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