聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 当然、学園の生徒じゃない。

 黒い髪、整った顔立ち。

 それは見覚えがあった。


「由理香ちゃん!?」


 そう、それは夏休み前に一度だけ会った黒斗の妹、由理香ちゃんだった。


 何でこんな所に……?

 黒斗の妹なんだから一般客として来ていてもおかしくはないけど、この更衣室の辺りは一般客は立ち入り禁止になっているはずだ。



「どういうこと、友さん?」

 あたしが疑問に思っていると、由理香ちゃんの方が質問してきた。


「はい?」

 でも何?
 質問の意味分からないよ。

「『はい?』じゃ無いわよ!? どういうことかって聞いてるの!!」

 由理香ちゃんはツカツカとあたしに迫りながらそう言った。


 こ、怖い……。


 あたしは思わず後退りする。

 綺麗な子が怒りの形相になるのは本当に怖い。


「だ、だから何がどういうことなの?」

「その格好よ!!」

「へ?」


 この劇の衣装が?

 どこをどうしたらこれが由理香ちゃんの怒りに触れるのか……。


「あたし言ったわよね?」

「え?」

 何を?


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