死が二人を分かつまで
徐々に進藤の胸の鼓動は早くなり、さらに、耳がキーンとして、一瞬目の前が暗くなったような気がした。


「アパートを見に行ったら、すでに引き払った後だった」


丸山のその言葉に、進藤は思わず駆け出していた。


「おいっ学生!」


マスターの呼び掛けを振り切り、店を飛び出す。


嘘だ。


そんなこと、嘘に決まってる。


小夜子のアパートにたどり着き、部屋のドアを激しく叩いた。


しかし、誰も出ては来なかった。


しつこく叩いていると、隣の住人らしきエプロンを着けた中年の女性が勢い良くドアを開け出て来た。


夏休みの間小夜子のアパートにずっと入り浸ってはいたが、昼夜逆の生活だったので、住人ときちんと顔を合わせたのはそれが初めてである。


「うるさいわねー。そこは引っ越したわよっ」


進藤は息苦しさを感じながらも何とか言葉を繋いだ。


「どちらに…行かれたんですか?」


「はぁ?そんなの私が知る訳ないでしょ。ただ、今朝早く『今までお世話になりました』って玄関先で挨拶されただけだもの。だからもう誰もいないの。近所迷惑だから、やめてくれないかしら?」
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