死が二人を分かつまで
考えた末、進藤のアパートへと場所を移す事になった。


部屋の前まで来た時、隣室の川嶋が丁度ドアから顔を出す。


「あら、甥御さん?」


「え?」


一瞬言葉の意味が分からなかったが、傍らのさとしを見て進藤は合点が行った。


以前、自分には姉がいて、その一人息子は現在高校生である、という話を川嶋にした事がある。


と言っても、進藤自らが積極的に明かした訳ではなく、世間話をしているうちにいつの間にか言わされていたのだが。


進藤は未婚で息子もいない。

歳の離れた二人を見て、川嶋がとっさにそう判断したとしても不思議ではなかった。


「あ、いえ」


「まぁ~、叔父さんに似て、美男子さんだこと」


彼女は進藤の言葉はまったく耳に入っていないようだった。


「そうではなくてですね、あの」

「あ、水入らずの所、邪魔しちゃ悪いわね」


川嶋はさとしに視線を合わせ、「ごゆっくり」と微笑んで言いながらドアを閉めた。


『何なんだ一体…』


そのマイペースぶりに呆気に取られつつも、進藤は内心胸を撫で下ろした。
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