死が二人を分かつまで
今日もきっと、何か話があって出て来たのに違いない。

さとしの前で煩わしいやり取りをしなくて済んだのだから、むしろ川嶋の勘違いは都合が良かった。


「あ、ごめんね小谷君。どうぞ、上がって」


「はい。お邪魔します」


進藤はさとしを促しつつ玄関へと入った。

廊下を進み、リビングまで案内し、ソファーを勧める。


ビールでも出そうかと提案したが、さとしがアルコールは苦手だと言うので、代わりにコーヒーを淹れた。


菓子がないな、と進藤は今更ながらに気付く。


普段客などめったに来ないので、お茶受けは用意していなかった。


『ま、無ければ無いで良いだろう』と思い直し、進藤はコーヒーをトレイに乗せてテーブルまで運ぶと、さとしの隣に腰を下ろした。


先ほど夕飯を食べたばかりだし、ここに来たのは別にお茶会を楽しむ為ではないのだから。


「そうか……。伯父さん達と、話し合いをしたんだね」

「はい」


さとしはそこで寂しそうに微笑んだ。


「歴史は繰り返すというか…。母が家を出た時も、きっとこんな風だったんだろうな、と思いました」
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