死が二人を分かつまで
進藤はとっさにフォローの言葉が見つからなかった。


せめてもと、21年前の小夜子の様子を話して聞かす。


どれだけ素晴らしい女性だったか、どれほど周りから愛されていたか。


しかし、進藤との関係については「姉弟のように仲が良かった」という所までで留めておいた。


息子のさとしに母親の恋愛事情を話すのは抵抗があったし、しかも自分は捨てられた身なのだから。


そんな話をしてもお互い気まずい思いをするだけである。


さとしは嬉しそうに進藤の話に耳を傾けた。


「ところで、君は4才までどこに住んでいたの?」


つまり、小夜子はプリズムを辞めたあとどこに落ち着いたのか。

ずっと気にかかっていた事を尋ねてみる。


「茨城県の水戸らしいです。僕自身は覚えていないんですが、母が伯父達にそう言ったらしいので」


『茨城……?』


自分の出身県だったので、進藤は思わずドキリとした。


偶然にも、そこで愛する人との生活をスタートさせたのか。


しかし、それなら歌の実力を買われて引き抜かれた、というのは当てはまらないなと進藤は思う。
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