死が二人を分かつまで
水戸は県庁所在地だけあり、街の中心地は都内と比べても遜色ないほどの活気があった。


同じ茨城県内でも進藤の実家がある地域とはだいぶ雰囲気が異なる。


仕事も多種多様あることだろう。


しかし、それでも、しょせんは地方都市である。


東京のバーで歌っていたのに、たとえスカウトの声がかかったとしてもわざわざそちらに移るメリットはないように思う。


しかも小夜子は、あれだけプリズムを気に入っていたのだから。


という事は、仕事関係ではなく、純粋に愛する人について行ったということになる。


進藤は改めてセンチメンタルな気分になった。


「母が住んでいたアパートや、仕事先はどの辺にあったんですか?」


今度はさとしが質問して来た。


「あれ?お母さんが住んでた所、知ってるんじゃなかったんだっけ?」


以前、そのように聞いたような気がしたが。


「あ、いえ。文字での住所なら分かるんですが、具体的な場所は知らないんです。誰もそこを訪ねた事がなかったらしくて」

「ああ…ご家族には音楽活動を反対されてたんだもんね」
< 126 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop