死が二人を分かつまで
「でも、良かった。母は周りの方達に、とても良くしていただいていたみたいで」

「それは本人の人徳だよ」


さとしは進藤の瞳をじっと見つめつつ続けた。


「きっと、進藤さん達との楽しい思い出が心の糧となって、母はその後も頑張る事ができたんだと思います。ありがとうございました」


そして深々と頭を下げる。


ふいに大人びたその仕草に、進藤の心は乱された。


まだ20歳だというのに、そんな表情、言葉が出てくるさとしに感心しつつも、何だか切なさも込み上げて来るのだった。


進藤の心中には気付くはずもなく、さとしは顔を上げつつふと腕時計を見ると、「あ」と言葉を発した。


「いけない。もうこんな時間だ。すみません、長居しちゃって。そろそろ失礼します」


「そう……」


正直名残り惜しかったが、明日もお互い会社と学校だ。


この辺でお開きにした方が良いだろうと進藤も思い、さとしと共に立ち上がり、戸口へと歩を進めた。


「じゃ、大通りまで送って行くよ」

「いえ。道は覚えたから大丈夫です」

「いや、こんな時間に一人じゃ危ないだろう?」
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