死が二人を分かつまで
もちろん彼女は嫌味で言ったのではないだろうが。

そういうあてこすりのような事を言う性格ではない。


文句がある場合は目の前で、正々堂々、言葉にするタイプであった。


進藤はやかんを火にかけて棚からコーヒーカップを出すと、とりあえず一旦リビングに戻り、明美の正面に腰を下ろした。


「でもさ、自由気ままな生活も良いけど、家族に束縛される生活っていうのも、それはそれで楽しいもんだよ」


明美はしみじみとした口調で言葉を発した。


「あんた、結婚はしないの?」

「何だよ突然」

「結婚式の時のさ、あれが良いんだよね。【病める時も、健やかなる時も……】ってやつ。神父さんに目の前で言われた時、感動して鳥肌が立ったもん」


進藤は明美の結婚式を思い返した。


新婦よりも新郎の方がかなりの勢いで号泣していた、とてもインパクトのある式だった。


「あんなの形式的なもんだろ」

「あんたね……」


弟の言葉に、明美はため息を漏らした。


「そうだよ。確かにそれは、セレモニーを盛り上げる為のただの決まり文句かもしれない。でもね、受け止める人によっては、それはやっぱりすごく意味のある言葉になるのよ」
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