死が二人を分かつまで
紙袋から中身を取り出して見せながら明美は楽しそうに続けた。


「今時の男子高生はお洒落にうるさいからね~。着るかどうか分かんないけど、一応ね。何もお土産が無いと拗ねそうだから」


「何だよ。自分の分、全然買ってないじゃないか」


進藤は心底呆れた。


しかも、わざわざこちらで買わずとも、地元のデパートでも手に入れられるような物ばかりである。


「良いの良いの。私は美味しいもん食べて一流ホテルに泊まれるんだから、それで充分。それに、余所の土地で買い物するっていうのが楽しいんだから。何か、遠足思い出しちゃったよ。あれって、お土産選ぶのが楽しいんだよね」


「遠足は、帰るまでが遠足だからな」


進藤は明美に笑いかけつつ続けた。


「寄り道や道草をせずに、真っ直ぐ家に帰るように」


「分かってるよ。あんたに心配されずとも、明日家族の元に帰ります」


明美は目をつむり、「ベー」と舌を出したが、ふいに真面目な表情になる。


「あんたも、気が向いた時には、いつでも帰って来るんだかんね」

「え?」

「あんたも、私達にとっては、大切な家族の一員なんだからさ……」


そう言って微笑んだ明美の表情は、いつの間にか、遠い昔に何度も見た母親のそれとそっくり同じものになっていた。
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