死が二人を分かつまで
さとしが解説する。


「勘当同然に家を出たとは言っても、母自身は別に家族と縁を切るつもりはなかったみたいで。それで自分の居場所を報告したようです」


「そうか……」


「伯父はろくに見もせずに捨てようとしたらしいんですが、祖母がこっそりと保管しておいて、亡くなる直前、僕にくれたんです」


とっさに言葉が見つからず、津田が無言でハガキを差し出すと、さとしはそれを受け取り、大切そうにリュックに仕舞い込んだ。


「大学進学を期に一人暮らしする事が決まった時、ぜひとも母の居たこの街に住みたいと思ったんです。もちろん、伯父にはこのハガキの存在は隠していましたから、『学校の先生に学生が住むのに最適な場所を調べてもらった』という風に話を切り出して」


「そうだったのか……」


「はい。その後、僕には土地勘がありませんので、不動産屋さんに色々アドバイスをいただいて、最終的に今のアパートに決めました。学生用のアパートが多い地域だったから、すんなり決まって助かりました」


さとしは楽しそうに話していたが、津田は何だか切ない気分になった。
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