死が二人を分かつまで
いつも人に遠慮して、ストレートに自分の希望を伝えられず、さぞかし窮屈な人生であっただろう。


それでもさとしは笑っている。


我が儘ばかり押し通して来た己の人生をひそかに反省しつつ、再び書類に目を落とした津田は、一瞬『おや?』と思った。


「あれ……?お前の誕生日って、5月だったのか?」


「はい。新学期が始まってわりとすぐに歳を取るので、早生まれの友達にはおじさん扱いされてました」


さとしは苦笑しながら言葉を紡ぐ。


しかし、津田は奇妙な違和感に囚われていて、さとしに返答している余裕がなかった。


てっきり、さとしは夏生まれだと思っていたのだ。


何故そう思い込んだのだろうか?

その理由は何だったのか?


「あ、ここどうしよう……」


しばらく自分の考えに集中していたが、気になる項目があったのか、さとしがそう呟いたので津田はとりあえずその思考を遮断した。


「どれ?」


「『楽器は何か演奏できるか?』っていう質問で、どれくらいのキャリアか書くんですけど、僕、続けてきちんと習った訳じゃないから」
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