死が二人を分かつまで
津田はすぐにギターの事であろうと理解した。


「そういや、いつから始めたんだ?」


「高校3年生になった時、音楽と美術の授業が無くなって、その代わり【芸術】として選択授業になったんです。受験に関係の無い科目は減らしたいけど、息抜きの時間も必要だろうっていう学校側の判断で。それで週に一回、全クラス合同での授業がありました」


「その選択肢の中にギターがあったわけか」


「はい。その技術がマスターできれば、自分で作曲もできるようになるかな~と思って……」


「それは賢明な判断だったな」


つまり、いずれオリジナル曲を作るつもりだったという事だろう。


「それで、先生に筋が良いって誉められて、放課後に特別に教えてもらったりして。伯父達には受験対策の特別補習に出てるって嘘ついちゃいましたけど」


過去についた自分の嘘を改めて後ろめたく思ったのか、さとしは眉尻を下げた。


「でも、卒業したらギターに触る機会が全然なくなってしまって」


「今持ってるあのギターは?」


「大学に入ってから、バイト代を貯めて何とか買ったやつです。中古ですけど」
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