死が二人を分かつまで
いつもにも増して黒々と濡れそぼる、吸い込まれそうな、綺麗なその瞳と。



「これ、返します」


さとしは自分の手首に視線を向けると、震える指で時計を外し、進藤のスーツのポケットに押し込んだ。


「せんべつなんかいりません。ずっと、そばにいさせてください」


さとしは再び進藤を見上げた。


新たな涙が、その頬をすべり落ちて行く。


「ぼく、もう、一人ぼっちになるのは嫌なんです……」


その瞬間、進藤は自分の中で、何かが崩れ落ちる音を聞いた。


いや。実際に聞こえたかどうかは定かではない。


後から、それがきっかけだったと思い込んだだけかもしれない。


その時の自分はそんなことすら感じる余裕はなかったのだから。


進藤はいつの間にか、さとしの唇に自分の唇を重ねていた。


拒絶するはずだった腕は、もう二度と離せないほどに、強く、固く、さとしの背中を捕らえている。


「んぅ……」


苦しそうに呻くさとしの声に、一瞬我に返り唇を離すと、驚きと怯えがない交ぜになったような彼の表情が進藤の目に飛び込んで来た。
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