死が二人を分かつまで
『あんなにこわがってたのに…。お母さんかわいそう…』


そこでふいに、さとしはある事を思いついた。


体の向きを変え、急いで部屋を出ていく。


「あっ、さとしちゃんどこ行くの?」


祖母の声を背後に聞きながら、さとしは廊下を横切り、階段までたどり着くと、よいしょ、よいしょ、と一段一段登って行った。


普段、さとしは先ほどの部屋で祖父母と寝起きを共にしているが、今日は小夜子の葬儀に使われていたため、細々とした荷物は二階の一室に移動されていた。


「あ、いた~」


目当てのものはすぐに見つかった。


いつも夜、さとしが抱きしめながら眠る、魚の形のクッション。


それを大事そうに両手で抱えながら、さとしは階段を降りて和室へと戻った。


「さとしちゃんそれ…」


「トトちゃんに、お母さんの事、守ってもらうの」


心配そうな表情で戸口に佇んでいた祖母の脇をすり抜け室内に入ると、さとしは再び小夜子の柩へと近づいた。


「トトちゃんはお魚だから、泳ぎはとくいだもんね」


言いながら、さとしは小夜子の胸元にクッションをそっと置いた。
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