死が二人を分かつまで
その成り行きを、息を詰めて見守っていた周りのスタッフは、安堵したようにそれぞれの作業に戻って行った。


「お願いします」


震える声で、進藤は医師に訴える。


「さとしを、さとしを助けて下さいっ」


「ええ。大丈夫ですよ。安心して下さい」


「今まで健気に、一生懸命に生きて来た子なんです。もう、俺のせいで、辛い思いはさせたくないんです」


進藤は泣きじゃくりながら続ける。


「あの子は、あの子は俺の」


そして何の迷いも抵抗もなく自然に、生まれて初めてとなる、その言葉を口にしていた。



「俺の、この世でたった一人の、かけがえのない息子なんです」


一瞬の間を空け、医師は答えた。


「そうですか。それはさぞかし心配でしょうね。でも、本当に大丈夫ですよ。治療にあたっているスタッフは皆優秀ですから」


そのままカーテンの向こう側へと消えて行く二人の後ろ姿を、津田は廊下から静かに見つめていた。


「あの……」


一人の女性看護師が津田に近づき、話し掛ける。


「進藤さんて、小谷さんのお父様なんですか?」


「え?いや……」
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