死が二人を分かつまで
進藤の脳波には、異常は見当たらなかったようだ。


額が腫れて熱を持っていたが、内部にダメージはなかったらしい。


身体の数ヶ所に擦り傷と打撲があり、鈍い痛みが続いていたが、致命的な怪我がなかったのは不幸中の幸いである。


さとしが体を張って守ったからだ。


二人に突進して来た車は、制限速度の倍以上のスピードを出していた。


さとしは進藤を突き飛ばし、自分も逃げようとしたが間に合わず、車体に右足を引っ掛けられ、骨折した。


さらに車道に倒れ込んだ際、左側頭部をアスファルトに打ち付け、裂傷した。


治療というのは患部の縫合と骨の固定の事であった。


命に関わるほどの大怪我ではない。

状況を把握しないままにひどく取り乱した進藤を、医師は内心滑稽に思っていたかもしれない。


しかし、命に別状が無いとはいえ、それでも進藤の心は晴れなかった。


自分のせいでこうなった事に変わりはないのだから。


『ただ転んだだけでも体に軋むような痛みが走るというのに、骨折など、どれ程の苦痛を伴った事だろう』
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