死が二人を分かつまで
「それでも、その道を選ぶか?」


「当然だ」


津田を正面から見返し、進藤は迷いなく、力強く言葉を発する。


「それが、この世の俺に与えられた使命だから」


暗闇の中、遠くに見えていた希望の光に、ようやく今、進藤は辿り着いた。


あまりの眩しさに、思わず涙が零れそうになった。


「だったら、俺が言う事はもう何もないだろ」


津田はそう呟きながら、再び窓の外に視線を向ける。


「津田……」


しかし進藤の、ためらいがちに発せられた呼びかけに、すぐさま振り向いた。


その声音に、何かを感じ取ったように。


「あんたが居てくれたから、俺は救われた」


気恥ずかしくはあったが、言わずにはいられなくて、進藤は真摯にその思いを言葉に乗せた。


「これからも、俺達のことを、ずっと見守っていてくれるか…?」


しばしの沈黙のあと、津田はおもむろに口を開いた。


「まぁ、仕方ねぇな」


初めて会った時に見せた、少し皮肉な、からかうような微笑みを浮かべながら。


「面倒見てやるか。あんたは俺の人生で初めてできた、呆れるくらいマジメで優等生な、お友達だからな……」
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