死が二人を分かつまで
顔色も大分良くなり、精神的にも落ち着いている様子のさとしを見て、進藤は胸中で安堵のため息をつく。


「何だか信じられないです…」


知子と進藤が、二人並んでベッドサイドのパイプ椅子に腰を下ろした所で、さとしは呟いた。


「いつの間にか歌手としてデビューする事が決まっていて、伯父さんもそれを許してくれているなんて」


「君が今まで頑張って来たから、きっと神様がご褒美をくれたんだよ」


「そうでしょうか?でも、その間の記憶が無いのはやっぱり変な感じです」


さとしの口調は穏やかだったが、その言葉に、進藤は胸が締め付けられた。


思わず右手を上げ、さとしの頭を撫でそうになった所で我に返り、慌てて押し留める。


常識的に考えて、成人男性に対して取る行動ではないだろう。


隣に知子がいるのに、そんな事をしたりしたら怪訝に思われてしまう。


進藤は何故いきなりそんな衝動にかられたのか、自分でも良く分からなかった。


その時、病室のドアが勢い良くノックされた。


「はい」


知子が立ち上がり、戸口へと向かおうとしたが、それより早く、その人物はドアを開け放つ。
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