死が二人を分かつまで
「いま狙っている子なんですが、先生の目から見てどうかと思いまして」


「え~?俺、もう帰ろうと思ってたんだけどなぁ」


そう言いながらも、柊は満更でもなさそうに再びソファーに腰を下ろす。


津田は自分の、芸能マネージャーとしての閃きを信じている。

しかし、自分一人だけの判断でタレントを売り出す訳にはいかない。

発掘した才能は果たして育てる価値があるものなのかどうか、自社の社長やスタッフとディスカッションするのはもちろんだが、津田は今までもたびたび柊の助言を受けてきた。


彼の目利き、そして音楽の才能を引き伸ばす能力には神がかり的なものがある。


だてに何10年も業界の第一線で活躍してきた人物ではない。


今回も津田は柊の意見を真っ先に聞きたくてここまで来た。

今までとは比べものにならないくらい気が急いている。

一刻も早く彼の歌声を柊に聞かせたかった。

自分でも説明できない、何かの予感がある。


「隠し撮りなんでアングルはいまいちですが、音はちゃんと入ってますんで」


映像が流れだした。
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