死が二人を分かつまで
「ふ~ん。ギターで路上ライブか。お約束だね。しかもオリジナルじゃないし」

柊は軽い口調で、あまり興味がなさそうに呟く。

しかし、イントロが終わり、歌唱部分に入ったとたん、突然眼光が鋭くなった。


「どうでしょう?正直、ギターの腕前はまだまだ未熟ですよね」

柊は無言だ。


「発声も、専門的なレッスンは受けていないんじゃないでしょうか。いきなり一人は無理だとしたら、まずは誰かのレコーディングにコーラスとして参加させても良いかと思ってるんですが」


これは今、突然思いついたことである。


まったくそんなことは考えていなかった。


「馬鹿言うな……。こんな奴、コーラスに使えるか」


それまでとは違う声音で、柊はビデオから目を離さずに答える。


津田は次の言葉を待った。


「こんなに声に華がある奴、サポートにまわしてどうする。メインが霞んじまうだろ」


思った通りの回答だった。


「こいつは掘り出しもんだぞ」


ニヤリと笑いながら、柊はようやくビデオから顔を上げたのだった。


「早いとこ捕まえろ。俺が責任持って育ててやる。他の奴に取られたら、承知しねぇからな」
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