死が二人を分かつまで
「あ、今日は開いてるな」


つられてさとしも立ち止まる。


「ここ、安くてうまいんだよ」

「よく利用するんですか?」

「そんなに頻繁ではないけどね。自炊は面倒だし、かといって出来合いの弁当ばっかりじゃ栄養偏るからさ。タイミングが合えば寄るようにしてる」


言いながら、進藤は体の向きを変え、店のガラス戸に手をかけてさとしに別れを告げた。


「それじゃあここで」

「あ、僕もご一緒して良いですか?」

「え?」


誘うつもりはまったくなかったのだが、成り行きでそうなってしまった。


まぁ、たまには学生と交流を持つのも良いだろうと、進藤は自分を納得させ、さとしと共に店の暖簾をくぐる。


閉店間際だったので、客はあまり多くない。


4人掛けのテーブルに向き合って腰を下ろすと、進藤は焼魚定食、さとしはハンバーグ定食を注文した。


他にやる事もないので、とりあえず会話を再開する。


「家はこの近くなの?」

「はい。歩いて…15分くらいかな?それくらいでバスに乗るのはもったいないので、いつも徒歩通学です」

「そう。ご両親と同居?」

「いえ。一人暮らしです」

「俺も一人なんだ。この辺は便利だからね。その割には家賃が安いし、昔から学生には人気の街なんだよ」

「そうみたいですね。でも、僕の場合、この街を選んだ理由はそれだけじゃないんです」
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