死が二人を分かつまで
「ん…?どういうこと?」


「僕の母が、若いころ、この付近に住んでいたことがあるみたいなんです。なので、どうせ一人暮らしするなら近いところが良いなって」

「ああ、例の、『―――――』って歌が好きなお母さんね」


一瞬、進藤にとって引っ掛かるキーワードがあったが、あえてスルーした。


そうこうするうちに料理が運ばれてくる。


さとしは「いただきます」と唱えてから料理に箸をつけた。


「ホントだ、おいしい」


黒目がちな瞳を見開いて、嬉しそうに声をあげる。


それを見て、進藤もとても嬉しくなった。


「今度、学校の友達にも教えてあげようっと」

「君って、歳はいくつなの?」

「20歳です」


てっきり今年高校を卒業したばかりかと思っていたので、成人しているということに少し驚いた。


「そう……。良いな。今が一番楽しい時だよね」


それ以上の会話の発展はなく、二人は黙々と食事を続けた。


チラリとさとしを見ると、ニコニコと、とても美味しそうに米を頬張っている。


男子学生特有のガツガツした感じではなく、きちんと姿勢を正し、とても行儀の良い食べ方だった。
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