死が二人を分かつまで
しかし、男同士が若く見えるという事を喜び讃え合うのもどうかと思い、進藤は無言でいた。


見かけはどうであれ、二人がアラフォーである事は紛れもない事実で、世間ではれっきとした「おじさん」である。


しかし突然、津田は口調を改めた。


「あのさ、あんた、ひょっとしてさとし君の母親のことが好きだったんじゃないの?」


そして探るように進藤を見る。


「っていうか、実はお付き合いしてたのに、捨てられてたりしてね」


不意打ちに進藤はうろたえてしまった。


「やっぱりな」


自らが吐き出した煙草の煙にシブイ表情になりながら津田は続けた。


「さとし君の父親の話になった時に表情が強張ったから、ピンと来たんだよね。でも、あれでしょ?青春の1ページっていうか、そんなに本気だったわけじゃないんでしょ?」

「え?」


「だってそうじゃん。目の前からいなくなったらあっさり諦めちゃったんだからさ。その気になれば捜せたはずだぜ?本名を知ってたんだし」


津田の言い草に進藤は無性に腹が立ってきた。


なぜ他人にこんなことを言われなくてはいけないのかと。
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