死が二人を分かつまで
丸山目当ての常連客も当然いた。

女性だけではなく、何故か男性も……。


そんな彼が小夜子と並ぶと、ため息が出るほど絵になった。


演奏テクニックも申し分ない。


しかし、やはり進藤の視線は小夜子を追い掛けてしまうのだった。


うっとりとステージを眺めていると、マスターが声をかけて来た。


「おいこら、学生」


「え?あ、はい!」

「指、怪我したんだろ?今日はもう帰って良いよ。そろそろ遅番の奴も来る頃だし」


「はぁ…」


皿洗いのバイトは3人雇われていて、早番遅番交替で1人づつ勤務していた。


一度に大量の洗いものが出る訳ではないので、それで充分なのである。


皿洗い以外にも料理の盛り付けや、客が帰った後のテーブルの片付けなども任されていた。


進藤の勤務時間は19時から22時まで。


まだ未成年というのを考慮され、早番のみの担当であった。


ちなみに遅番は22時から1時までである。


腕時計にチラリと目を向けると、確かに自分の勤務時間はそろそろ終了であった。


しかし、進藤は名残り惜しい気持ちでいっぱいだった。


『せめて、この曲が終わるまでは、ここにいさせて欲しいんだけどな……』
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