死が二人を分かつまで
「そうだね。テレビの懐メロ特集なんかでよく流れる曲だし」
成り行きで、進藤は若者と共に歩き出した。
自分はこちらの方向だから良いが、彼もそうなのだろうか?と進藤は思ったが、しかし、あえてその事は問わずに、別の疑問を口にした。
「いつもあそこで歌っているの?」
「はい。でも、歌い出したのはつい最近なんです。恥ずかしくてなかなか決心がつかなくて…。でも、勇気を出して良かった。皆さん立ち止まって聞いて下さって、ありがたいです」
ニッコリと、天真爛漫な笑顔を見せる。
自分の才能が人を集めているのだとは考えないらしい。
とても謙虚な若者だ。
「俺はいつもあの駅を利用してて、今までも路上ライブには遭遇してたけど、君の歌を聞いたのは今日が初めてなんだよね。時間帯もあるのかな?」
「そうだと思います。僕、そんなに長い時間はいないので」
「学生?」
「はい。大学生です。勉強やバイトの合間に、気が向いたら歌いに来るような感じです」
だとすると、彼の歌声を聞けるのはなかなか貴重な事のようだ。
もちろん、暇をもてあまして毎日あの広場に通っている者ならば難しいことではないだろうが。
成り行きで、進藤は若者と共に歩き出した。
自分はこちらの方向だから良いが、彼もそうなのだろうか?と進藤は思ったが、しかし、あえてその事は問わずに、別の疑問を口にした。
「いつもあそこで歌っているの?」
「はい。でも、歌い出したのはつい最近なんです。恥ずかしくてなかなか決心がつかなくて…。でも、勇気を出して良かった。皆さん立ち止まって聞いて下さって、ありがたいです」
ニッコリと、天真爛漫な笑顔を見せる。
自分の才能が人を集めているのだとは考えないらしい。
とても謙虚な若者だ。
「俺はいつもあの駅を利用してて、今までも路上ライブには遭遇してたけど、君の歌を聞いたのは今日が初めてなんだよね。時間帯もあるのかな?」
「そうだと思います。僕、そんなに長い時間はいないので」
「学生?」
「はい。大学生です。勉強やバイトの合間に、気が向いたら歌いに来るような感じです」
だとすると、彼の歌声を聞けるのはなかなか貴重な事のようだ。
もちろん、暇をもてあまして毎日あの広場に通っている者ならば難しいことではないだろうが。