死が二人を分かつまで
「あ。じゃあ、僕こっちなので」
遊歩道を抜け、駅前大通りの歩道を300メートルほど歩いたか。
多くの車が行き交う交差点で彼は立ち止まった。
向こう側に渡るらしい。
進藤はこのまま真っ直ぐだ。
「そう。じゃあ気をつけて」
あっさりと別れようとしたその時、彼が右手を差し出してきた。
「今日はありがとうございました。良かったら、また聞いていって下さいね」
つられて差し出した進藤の手をしっかりと握りしめてから、彼は去って行く。
何だかおもしろい雰囲気の子だな、と進藤は思った。
彼は昔から勉強もスポーツもそつなくできたので、不本意にも、いつも人をまとめるようなポジションに立たされてきた。
そのため、おっとりと自分のペースで動くようなタイプにはイライラさせられることが多かった。
しかし、なぜか先ほどの彼にはそういった感情は湧いてこない。
独特の間だが、愚鈍さは感じられなかった。
『きっと両親から、きちんとした躾を受けて育ったのだろうな』
心の中で呟きつつ、進藤は改めて家路を急いだのだった。
遊歩道を抜け、駅前大通りの歩道を300メートルほど歩いたか。
多くの車が行き交う交差点で彼は立ち止まった。
向こう側に渡るらしい。
進藤はこのまま真っ直ぐだ。
「そう。じゃあ気をつけて」
あっさりと別れようとしたその時、彼が右手を差し出してきた。
「今日はありがとうございました。良かったら、また聞いていって下さいね」
つられて差し出した進藤の手をしっかりと握りしめてから、彼は去って行く。
何だかおもしろい雰囲気の子だな、と進藤は思った。
彼は昔から勉強もスポーツもそつなくできたので、不本意にも、いつも人をまとめるようなポジションに立たされてきた。
そのため、おっとりと自分のペースで動くようなタイプにはイライラさせられることが多かった。
しかし、なぜか先ほどの彼にはそういった感情は湧いてこない。
独特の間だが、愚鈍さは感じられなかった。
『きっと両親から、きちんとした躾を受けて育ったのだろうな』
心の中で呟きつつ、進藤は改めて家路を急いだのだった。