死が二人を分かつまで
日が高くなってから起き出し、小夜子の作ってくれた朝食兼昼食を二人で食べる。


小夜子はプリズム以外にも在宅で仕事をしていた。


近所の学習塾から依頼された教材プリントの作成と、その採点だ。


彼女は教育学部卒の才女であったのだ。


「プリズムの従業員は、みんな兼業なんだよね」


小夜子は解説した。


「時給は他の仕事に比べて断然高いと思うのよ。特に私なんて、素人歌手なのにこんなにもらっちゃって良いのかな、なんて申し訳なく思うくらい。ただ、勤務時間が短いから、そのお給料だけで生活するのはちょっと厳しいの」

「ああ、そうだよね」


進藤は深く同意した。


小夜子は家族の反対を押し切って上京したらしいので当然仕送りなどもらえないし、東京は物価が高い。


社会保険に入れず、交通費もボーナスも支給されないプリズムの給料だけでは確かに生活は厳しいだろう。


「マスターはお父さんがあそこら辺の地主らしくて、プリズムの他にもいくつか建物の管理を任されているからその収入で食べていけるだろうけどね」


「へぇー」
< 82 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop