死が二人を分かつまで
そしてこう続けた。


「私も、子どもが産まれたら、考えに考えて名前をつけると思う。周りからありふれた名前に思われても、たとえ周りにその意味が分からなくても、その名前を呼ぶたびに自分の心が温かくなるような、そんな名前をつけるんだ」


そこでニッコリ微笑む。


「もちろん、パパになる人とじっくり相談してね」


そんな小夜子を見て、やはり年代的に彼女は結婚というものを具体的に考え始めているんだな、と進藤は思った。


今すぐには無理だけと、きちんと自分の力で生活できるようになったら、その時は小夜子にプロポーズしよう、と彼は心に決めたのだった。


いつも二人はそんな風に語らいながら、いつの間にか夢の中に落ちていた。


その瞬間がとてつもなく幸せだった。



……早く、大人にならなければ……。



何と充実した、素晴らしい青春だったろう。


その時の進藤は幸福の絶頂だった。


そんな日が、永遠に続くような気がしていた。


しかし、始まりがあれば必ず終わりもある。

それはあまりにも早く、二人の前に訪れた。


次のステージに進む為の終わりではなく、自分が望んでいたものとは全く形を変えてしまった、悲しく、残酷な、終わりの時が。
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