死が二人を分かつまで
ちなみにトイレは共同で風呂はない。


女性が生活するには中々厳しいだろう。


何度か小夜子をその部屋に招待したことがあったが、やはり宿泊はしなかった。


「仕方ないよ。住む所が確保できてるだけでも充分ありがたいし」


明美にお茶を出してから、進藤はその対面にあぐらをかいて座った。


そして笑顔で問いかける。


「旦那様と離れて寂しいんじゃない?」

「そんなことないわよ。たかが二泊だもん。それに、もういい加減飽きてきてるわよ。家でも店でも四六時中一緒なんだから」


結婚してまだ1年だというのに、今からそんな事で大丈夫なのだろうかと進藤は不安に思ったが、姉の表情は明るく、これも一種のノロケなのだろうと瞬時に判断する。


「子どもはまだできないの?」


進藤の質問に、明美の視線が鋭くなった。


「…あんたね、今回は許してあげるけど、二度とそんな事聞くんじゃないよ。特に、私以外の女性には」


「え?どうして?」


進藤はうろたえた。


「世の中にはね、赤ちゃんが欲しくても、できない人もいんの。結婚しているんだから妊娠するのは当たり前、その話題を出せば喜ぶはず、なんてのはデリカシーのカケラもない考え方だかんね」
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