死が二人を分かつまで
明美は続けた。


「昔は『子どもが産めないなら離婚』なんて信じられない風潮もあったみたいだけど、そういうのは自然の摂理なんだから。他人が干渉する事じゃないの。分かった?」


「うん…」


そうか、こういう話題はデリケートな事だったんだな、と進藤は改めて認識した。


「でもね、なかなか授からない場合もあれば、思わぬタイミングで授かることもある訳よ。あんたも、気をつけなさいよ」

「え?なにが?」

「都会で一人暮しなんかして浮かれて、女の子に悪さすんじゃないよ」

「ばっ、な、何言ってんだよ!」


進藤は赤面した。


「余計な心配するなよなっ。それに、その……。ちゃんと、避妊してれば大丈夫だろっ」


姉相手にとんでもない会話をする羽目になり、進藤の顔はさらに上気する。


「ば~か。それだって、100%回避できる訳じゃないんだからね。望まないタイミングで妊娠したら、傷つくのは女性なんだから。恋愛をする時は、自分の立場をよくわきまえな」


弟の神妙な態度に満足したのか、明美は口調を変えて問い掛けてきた。
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