死が二人を分かつまで
「どうしてこの子なんですか?あなたみたいな華やかな大人の女性なら、他にいくらでも相応しい人はいるでしょう?何も、弟みたいな田舎者を相手にしなくたって……」


そこまで早口でまくしたてると、自分自身を落ち着かせるように一度深呼吸してから、彼女は続けた。


「どうせ遊びなんでしょう?やめてくれませんか?この子はまだまだ子どもなんです。頑張って勉強して希望の大学に入ったんです。これから色々なことを学んでいかなくちゃいけないのに、惑わすようなことはやめてもらいたいわ」


「姉貴!」


進藤が明美の肩を掴んで強引に自分の方に向かせると、彼女の瞳には涙が溢れていた。


「健一……。何の為に大学に入ったの?何の為に東京に来たの?女の人と自由気ままに遊ぶ為?お父ちゃんとお母ちゃんが悲しむよ。よーく考えて行動しな」


進藤は何も言えなかった。


「……もう、行かなくちゃ」


明美は右手で涙を拭うとマスターに視線を向ける。


「お騒がせしてすみませんでした。弟を、どうかよろしくお願いします」


そのまま、逃げるように店を出て行った。
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