俺のこと、好きなくせに


随分咳が出るな、と思っていたのだ。


しかも喉の奥でゴロゴロと音のする、とても嫌な感じの、重い咳が。


「随分長引くな。風邪か?」


俺はある日、改めて問いかけた。


「ん~、熱は無いんだけど……。薬飲んでも治らないんだよね」


俺の言葉に、瞳は心底だるそうに呟いた。


「市販の薬じゃなく、医者にちゃんと処方してもらえよ。今年はいよいよ受験生になるんだからさ。病気は早め早めに治しといた方がいいぜ」

「そうだね」


そして瞳はかかりつけの医者に診てもらったのだが、何故かそこで大学病院を紹介された。


そして精密検査を受ける事になった。


よっぽど風邪をこじらせてしまったのだろうか?とやきもきしながら瞳の報告を待っていた俺の耳に届いたのは、あまりにも衝撃的な内容だった。


「手術する事になったの。術後もしばらく経過観察するから、受験は無理かも……」


具体的に何の病気かは聞けなかった。


瞳自身が「私も良く分からないんだよね」と言っていたし。


というか、


……恐ろしくて、しつこく追求する事なんかできなかった。



でも、外科的な手術をし、その後もこんなに長いこと定期的に診察や治療が続いているのだ。
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