恋色カフェ


「お疲れ様でした。……遅れてすみません」


焦ったり、駆け寄ったり、そんな素振りは見せてやらない。でもつい、謝りをいれてしまったのは、私の弱さ、だ。


「待つのは嫌じゃないよ」


店長はくすりと笑ってからそう言うと、乗って、と促した。やっぱり今日も、車の中まで店長の香りがしていて落ち着かない。



「それ、仕事の時と違う服だよね?」


信号で車が止まると、森谷店長は私をまじまじと見ながら訊く。


「あー……。仕事とプライベートで、気分を変えたかったんで……」


ドキリとして、慌てて理由を探した。もちろん、これも嘘ではなかったけど……。


本当は、職場とは違う顔を見せて、少しでも店長に可愛いって思ってもらいたかったから。


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