恋色カフェ


案の定、目の前のこの人はニヤリと口角を上げ、面白がっている様子。



「…………森谷、さん」

「駄目」


あっという間の駄目出し。だったら、店長が決めてくれればいいのに、と心の中で不満を漏らす。


「俺が納得出来る呼び方で呼べなかったら、お仕置きだな」

「なっ……!」




“お仕置き”


店長のそれが、どんなものなのか。いつかを思い出して、不本意にも顔が熱くなってくる。



「ま、お仕置きされたいならいいけど」


「ひ、煕、さんっ!」


慌てて、叫ぶように言ってしまい、私は他のテーブルから視線を浴びた。

……何やってるんだろう。



「その呼び方は……ちょっと」


店長の曇った顔を見て、思い出した。



──そうか。

これって、理英さんが店長を呼んでいた呼び方だ。


< 113 / 575 >

この作品をシェア

pagetop