恋色カフェ
低い温度の、店長の指が、私の頬を撫でる。
ひんやりしたそれが気持ち良くて、目を瞑る────と、唇に柔らかいものが触れた。
「ごめんな」
お詫びのつもり、だったんだろうか。
でも。お茶で冷たくなった唇には、その温度が気持ちいい。
熱くなり過ぎれば冷たいものが、
冷たくなれば温かいものが、
──恋しくなるなんて。
私だけって訳じゃなく、そもそも人間そのものが勝手な生き物なのかもしれない。
「俺以外の前では、あんまり飲むなよ」
そう言って私だけに向けられた憂いのある笑顔も、ずっと見ていたいと思うのに。
お酒で余計な思考が取り除かれてしまったのか。もう一度、あの熱が欲しくて。
私はただ黙って、目を瞑った。