恋色カフェ
その弓形に上がった薄めの唇に、私の唇を押しつけてやったら驚くだろうか。
それが出来るなら、私はもう、とっくに行動に移している。
思うように動かせない、この身体が恨めしい。
「……待って、ませんよ、別に」
最後の抵抗で、私は店長にそう言ってやった。やっぱり素直に言ってしまうのは、悔し過ぎる。
私の言葉で、少しでも心が揺らげばいいんだ。
「そうか。なんだ、俺の勘違いだったのか」
──が、揺らいだのは、私の方だった。
涼しい顔であっさりそう言うと、店長はソファーからすっくと立ち上がる。
「とにかくベッドに運んでやるよ。少し横になっていれば、酔いも醒めてくるだろうから」