恋色カフェ
私の身体の下へ手を入れたかと思えば、店長はさっきと同じように私を抱き上げ、隣の部屋へと歩いていく。
「や、重いから……っ」
「確かにな」
「もう、下ろしてっ」
「まともに歩けない人間が何言ってんの」
「だ、大丈夫ですから、」
「ほら、着いた」
店長は私をベッドの上にとさり、と下ろすと、小さく微笑んだ。
「そんな顔するなよ」
「だって……」
「彗一人運ぶくらい、なんてことはない」
そう言いながら彼はこちらに背を向け、リビングへ戻っていこうとする。
「え……店ちょ……」
一気に心細さが胸を襲い、私は何の考えもなしに店長を呼んでしまった。
それでも振り返らず、彼はリビングへと消えていった。