恋色カフェ
不意に腕を掴まれ、引っ張られる。え、ちょっと。どうしようっていうの。
「ま、待って!」
「何?」
「私、フロアには……」
「うん、わかってますよ」
問答無用に腕を引かれる。が、扉を潜る前に勝沼君はピタリと止まり、こちらを振り返った。
「片付けやら戸締りやらは、店長と万由さんでやるから、先行けって言ってましたから」
ドクン、と。胸の辺りから、嫌な心音が体中に響く。
「だから……店長とは、一緒に行けないっすよ」
「そんなの……わかってるし、一緒に行く気は最初からないから」
「なら、問題ないじゃないすか」
また笑みを見せると、さっきと同じように私の腕を引っ張っていく。